同行三人

後期高齢者のお遍路です

16番観音寺まで

13番大日寺の向かいにある一宮神社の立派な石灯籠。近くには一宮城址の散策路もある。

 すだち庵というのは、何代にも渡って遍路宿として機能してきたが、先代の主人が亡くなって一時閉鎖されていたのを、今の主人がクラウドファンディングで資金を調達して改装・再開させたという。現在も拡張計画があるが、しっかりした公的な保証があっても銀行が貸し付けてくれないという。

 すだち庵から13番の大日寺へは山越えのルートで16kmほどある。そして、翌日の宿には大日寺の近くの名西旅館花というところを予約してある。最初は全部歩くつもりだったが、これまでの私と妻の様子では無理かもしれない、玉ケ峠を超えて車道に出たら適当なところでタクシーを呼ぼうと考えた。

 ところが、すだち庵の主人が「ついでがあるから車で送ろう」といってくれた。他にもう一人送っていくという。喜んで申し出を受けることにした。

 さて翌朝、我々夫婦と、もう一人は昨日すごいスピードで我々を追い越していったAさんの3人が、主人の車で名西旅館花まで送っていただいた。我々は、旅館に荷物を預けて、この先を歩くことにした。適当なところで電話すれば、今度は名西旅館の主人が迎えに来てくれるという。

 Aさんはさっさと出発していったが、すぐに戻ってきた。何と13番大日寺にお参りするのを忘れていたという。大日寺は、宿のすぐ隣である。我々もまずそちらに行く。

 納経所の前に「お接待」のみかんがあったので、ありがたく頂いてきた。

 合掌している大きな手のひらの中に美しい観音様。4番札所も大日寺だった。他に28番も大日寺である。9:30頃、大日寺を出発。

 14番常楽寺までは約1時間かかった。疲れが溜まってゆっくりとしか歩けなかった。

 境内には自然の岩が露出している。ここで、大日寺で頂いてきたみかんを食べた。これがとても美味しかった。

 15番国分寺は近い。11:20到着。ここから16番観音寺もそんなに遠くはない。

 疲れに加えて、暑さがだんだん堪えてきた。途中で見事なレンゲ畑を見た。昔はどこにでも見られた光景だが、最近はなかなか見られない。

 いい加減バテ気味に16番観音寺に着いたのは12:30。今回はここで打ち切りにして、名西旅館で聞いてきた地元で評判のラーメン屋十三八へ。

 ええ〜! 並んでるう! 暑い中、順番が来るまで並んで待った。きっと美味しいに違いない! 鳥坂(とっさか)ラーメン(肉中)を注文したつもりだったが、(肉小)が来てしまったので、餃子とキムチチャーハンの小も注文。ラーメンに入れるにんにくも頼む。チャーシューたっぷりのラーメンは美味しかった。行列ができるだけのことはある。食べ終わって名西旅館に電話、すぐに迎えに来てくれた。

 名西旅館に「花」とついているのは、近くにもともと名西旅館があって、これは廃業してしまったが、別館「花」が営業を続けているということらしい。初老のご主人は、コロナでお遍路さんが減って経営は大変だと思うが、送り迎えも含めてほとんど一人で切り回している。あと10年は頑張るといっていた。

 夕食は天ぷらやホタテ入りの陶板鍋など、わりに美味しくて量も十分だった。夜飲みたいから近くに自販機はないかと聞いたら、以前はおいていたが、電気代が高いから撤去したという。代わりに冷たい水をポットに入れてくれた。夜のうちに全部飲んでしまった。

 翌日は近くのバス停から徳島駅に出て、高速バスで新神戸、新幹線で帰宅。次は、できればこの秋にでも続きを歩きに来たいと思う。

 バス停で、若い女性に会った。話してみると、焼山寺道で追い越していった一組男女の一人である。荷物が重くて難儀していたのを岡山の男性に助けてもらったと。焼山寺からはタクシーで神山町の宿まで、昨日はバスで来て名西旅館に泊まった。もう交通機関を使ってしまったから、これからは「歩き」にはこだわらず、徳島でレンタカーを借りるつもりだという。我々も、利用できるところは、これからもバスやタクシーを使おうと思う。

 以上、ダラダラと取り留めなく書いてきたが、「同行三人」第一シリーズの終わりとする。次は、できれば秋に、遅くとも来年の三月に。