同行三人

後期高齢者のお遍路です

6.11番藤井寺

 4月8日、もう4日目である。昨夜は下痢気味でトイレに2回。少し疲れが溜まってきた感じである。

 8:00出発。特に問題なく吉野川に着く。最初の潜水橋・大野島橋を渡る。電動シニアカーでトコトコ渡っていくおじさんがいた。対岸で車が待っている。途中に待避所があるので、車が来ると避難する。橋を渡ると吉野川の中洲・善入寺島である。中洲とは思えない広い田園風景の中を歩く。

 しばらくして、2つ目の潜水橋・川中島を渡る。意外に車が多く、そのたびに待避所に駆け込む。橋を渡って、堤防を登ったところに遍路小屋があった。水道もあって、一夜だけなら泊まれるとある。この先もこういう小屋はいくつかあり、若い時なら寝袋を担いで旅をしたかもしれない。

 ここからがまだ長い。今朝も朝食抜きだったので、道を少し外れて、吉野川市街に向かい、コンビニを探すかどうか少し迷ったが、google地図で見つけた喫茶店『ゆるび』をアテにして本来の遍路道を歩くことにした。暑さもあっていい加減バテてきたところでやっと喫茶「ゆるび」に到着。看板に「軽食」の文字を見たときは嬉しかった。

 「軽食」はモーニングだけだというので、それを注文。コーヒー+トースト・野菜サラダ・ヨーグルト。けっこう美味しかった。一人で切り回している私と同年のマスターは、随分話好きである。数年前に奥さんを亡くしたが、高校野球で活躍する孫が自慢の種である。スイッチヒッターの孫はプロからも注目される逸材らしい。

 今日の宿・旅館吉野に先に行って、空身で藤井寺へと考えていたが、予定変更、まず11番藤井寺へ行くことにした。

 もうすぐ藤井寺への登りに差し掛かろうというところで、妻が路傍の花の写真を撮り始めた。すると、女の人がペットボトルを2本持って急ぎ足でやってくるのが見えた。おお、初めてのお接待か? と思ったら、妻が道の真ん中で転んでいる。慌てて駆け寄って助け起こすと、女性が心配そうに声をかけながら冷えたお茶のペットボトルを差し出してくれた。「我が家の花を撮っていただいたので」「まだ先が長いですから」と。ありがたく頂いた。宿の周辺にコンビニも自販機もなく、このお茶に翌日の遍路ころがし登りで大いに助けられた。

 まもなく11番藤井寺に到着。

 明日予定している焼山寺道の入り口がある。

 藤井寺から降りてきたところで、大きな声で呼び止められた。「こっちに来てお茶を飲んでいけ」工事小屋のようなプレハブの建物に入っていくと、きれいな接待小屋である。遍路道の管理などをしている人のようで、この先の道程についてお茶を飲みながら色んな話を聞いた。「とある歩き遍路のホームページ」を見たと言ったら随分喜んでいた。「アメを持っていけ」「ついでにこれも」とバナナを2本、ありがたく頂いていく。本日2度めの「お接待」である。

 今日の宿は「旅館吉野」、ここに泊まって翌日に焼山寺道というのが、多くのお遍路さんの定番のようになっているという。ネット上でこの旅館の情報はいくらでも見られる。夕食のメインは「とんかつ」と決まっているらしい。好きだからいいけど。他にカツオのたたきなど、量的にも満足。

 上はネットで見つけた写真だが、これとほぼ同じだった。