同行三人

後期高齢者のお遍路です

5.10番へ

 朝食後、8時ころに出発。同じ方向に歩く男性と女性がいたが、すぐに置いていかれた。

 歩いている途中で見かけた「板野十六地蔵」の札所。きちんと手入れされている様子である。こういった札所巡りは全国にどれくらいあるのだろう?

 第8番の熊谷寺までは順調に歩いた。途中、土成の遍路小屋で小休止。三木武夫の屋敷跡だという。

 熊谷寺の大きな山門。ここから少し登ると納経所があった。ここに妻が休んでいる間に、私一人で参拝に行く。たかが4kg程度だが、リュックがないと随分楽になる。

 立派な多宝塔である。ここから第9番の法輪寺までは割に近いが、新しい広い道路ができていたりして、遍路道の雰囲気は少々壊れる。

 12時少し前に法輪寺到着。境内に入ると、一人のお坊さんが妻に向かっていきなり姿勢の指導を始めた。「普段は外ではやらないのだが、あんたたちは高齢で歩いているから」「猫背になると内臓を圧迫して良くない」「正しい姿勢を体に覚え込ませなさい」などなど。私にも姿勢を良くする体操を一つ教えてくれた。これも「お接待」の一つと考えてよいのだろうか?

 10番切幡寺までが長かった。実際は4kmにも足りない距離なのだが、右足に力が入らなくなってスピードが出ない。疲れてきたので「車に乗っていくか?」という声を期待したりしたが、そんなお接待はなかった。もっとも歩いている人に車をすすめるのは余計なお節介かも知れないから無理もない。それよりもここまで噂に聞いた「お接待」には一度もあずかっていない。まあ、期待するほうが間違ってはいるのだが。

 やっとたどり着いた切幡寺への道にお遍路用品の店「浅野総本店スモトリ屋」があった。最初から予定していたのだが、ここで白衣と笠を買うことにした。長袖シャツを脱いでTシャツだけになって、袖付きの白衣を上に着る。これは涼しくてなかなかいい。笠は多くの人が上が尖ったものを被っているが、私は弘法大師が被っているような丸いものにした。何となくこのほうが気に入ったのである。紐のかけ方に工夫が必要だと思ったが、この旅が終わったら研究しよう。

 例によって、スモトリ屋に妻を待たせて、私一人で切幡寺へ。

 ここから始まる333段の階段が結構きつい。

 登りよりも下りの方が足にこたえる。スモトリ屋に戻って、お茶を一杯頂いて、今日の宿「旅館八幡」へ。

 途中にあるお遍路人形。「美人」だが、少々気味が悪い。

 14:30頃旅館八幡に到着。ここにはレストランとビジネスホテルもあるが、ホテルの方は満室だった。旅館の方はかなり空いているようだった。まずレストラン「うどん八幡」で軽めの昼食を取る。天ぷらうどんの海老天がなんだか美味しくない。カニカマのような海老蒲鉾かもしれないと思った。

 部屋に入って、風呂は5時から。男性の風呂はなんだか湯が少なく、女性の風呂はあふれるほどの湯で、熱くて入れなかったという。従業員はほとんどレストランで仕事をしていて、旅館の方は随分おざなりにされている感じである。

 夕食も「うどん八幡」で。昼が遅かったので、ご飯やうどんはとらずに、ビールと刺身・焼き鳥・枝豆・酢の物などですませた。今日も疲れた〜〜。