同行三人

後期高齢者のお遍路です

3.第5番まで

 

 十輪寺から第一番の霊山寺までは近い。途中、菜の花と満開の桜がきれいだった。

 10時過ぎに霊山寺到着。まず、総合案内所が目に入る。山門は左の方にある。

初めてのことで要領を得ないが、案内所を無視して境内に入ると、大師堂と本堂があったので、声には出さずに心の内でお経を唱え、ろうそくや線香も省略して納札だけ済ませる。

 案内所に戻って、納経・朱印をいただく。お御影・お姿をいただくというのはここで初めて知った。

 これで一応の形がついた。そもそも無宗教の我々なので、こんな形で続けていこうと思う。観光だけが目的で心のこもっていない参拝ではあるが、大師様は受け入れてくれるだろうと信ずる。

 以前、自転車で地元の33観音を巡ったことがあるが、あるお寺の住職さんに、「どんな理由にせよ、お寺を訪れていただけるのは良いことです」と言われた。

 真面目に信心されている方々に対して引け目を感じるので、どうも言い訳がましくなる。あまり深く考えないでおこう。

 昨夜のホテルが素泊まりだったので、朝から何も食べていない。妻がそろそろ不平を言いだした。霊山寺の周辺に門前町があって、食べるところもあるだろうとの勝手な期待が見事に外れて、周囲にはなにもない。霊山寺手前の洋食「元」は定休日だった。もっと手前にローソンがあったのだが、そこまで戻る気力もない。霊仙寺のすぐ隣に「門前一番街」という店があり、「軽食」とあった。しかし「コロナで食事は出していません」ということで、名物の「あわくった」というまんじゅうのようなものと阿波茶を頂いたが、これで妻を満足させることは到底できない。

 2番札所の極楽寺は近いし、途中にコンビニもあるからと、とにかく歩き出す。途中で舩本といううどん屋さんを見つけた。「うどんじゃなくてご飯が食べたい」という妻に「ご飯物だってあるかもしれない」と説き伏せて行ってみる。というわけで、ここで朝昼兼用の食事タイムになった。妻は唐揚げ定食でご飯にありつく。ついていた温かいうどんは柔らかすぎて好みに合わなかったが、私の食べた「ぶっかけうどん」の冷たいうどんはやたらにコシが強くて美味しかった。載っているのが巨大な海老天かと一瞬思ったが、ちくわの天ぷらだった。他におでんも食べて、まあ、満足。

 再び歩きだして、コンビニには寄らずに極楽寺に12時半頃到着。

 弘法大師お手植えと言われる杉の巨木が目を引く。

 ここから第3番札所の金泉寺へはそれほど遠くはないが、その先の大日寺まではかなりの道のりになるので、金泉寺付近で宿を見つけたかったのだが、一軒あった旅館がどうやら廃業してしまったらしい。仕方がないのでこの日は5番地蔵寺前の「森本屋」を予約してあった。

 金泉寺への途中で妻の腰が痛くなり始めて、もう歩けないと言い出した。それでもなんとか頑張って14:00少し前に金泉寺にたどり着いたが、私もひどく疲れてきたので、ここでタクシーを呼ぶことにした。そんな人が結構いるのだろうか、境内にはタクシー会社の広告がある。ここまで、まだ8kmほどしか歩いていない。こんな調子でこの先は大丈夫なのか?

 金泉寺の美しい庭園。

 大日寺、14:30到着。妻をタクシーに残して私だけが参拝。これでご利益は私だけに💁🏻‍♂️💁🏻‍♂️💁🏻‍♂️💁🏻‍♂️💁🏻‍♂️!

 14:50、第5番地蔵寺奥之院・五百羅漢到着。

 五百羅漢のすぐ下に地蔵寺

 大きな銀杏の木。

 門前の桜がきれいだった。

 すぐ門前に、今日の宿森本屋さん。宿に入ると、女将さんが我々の登山用杖を受け取って洗う。大師の杖ではありませんけど・・・いえ、形だけでも。といったやり取りがあって、部屋に入るとこの杖が床の間に立てかけてあった。登山用の杖がこのような待遇を受けたのはここだけだった。他の宿では「大師様の杖ではありませんね、そのあたりに立てておいてください」といった調子で、玄関のどこかに立てて置くことになった。すぐ風呂に入れたのはありがたかった。夕食はカツオのたたきが美味しかった。疲れていたので、夕食後すぐに寝てしまった。