1.一番前札所
「遍路道保存協会」編の地図はほとんどのお遍路さんが持っているという。この地図には少し使いにくい面もあって、別の地図も発行されている。私も「みんなで作った遍路地図」を購入したわけだが、保存協会の地図は第1番霊山寺の前に2つの寺が載っている。それが東林院(種まき大師)と十輪寺(談義所)である。我々はまずここから歩くことにした。
2022年4月4日、新幹線で西明石、JR神戸線で舞子へ。舞子からは徳島駅前までの高速バスが出ている。あらかじめネットで切符を買っておいたが、決められた時間よりも早いバスに乗ることができた。予約制ではあるが、席が空いていれば乗ることができるようだ。本数も十分に多いので、予約する必要はなかったかもしれない。ただし、予約した時と同じ系列の会社のバスでないと、料金を払わねばならないから注意が必要である。
この日は徳島駅前のダイワロイネットホテルに宿泊。素泊まりで4,770円、割りに快適なビジネスホテルである。
4月4日、徳島発7:30発の列車で阿波大谷駅へ。ここからまず一歩を踏み出す。今回は荷物を軽くするためにデジカメを持ってこなかった。代わりにスマホで写真を撮るのだが、慣れていないのでどうもやりにくい。画面に手が触れてモードが変わっていることもある。そのため、普段の旅行に比べて撮った写真がずいぶん少ない。自分の指が映り込むなどの失敗もある。
よく「同行二人」ということを聞く。遍路者は常に弘法大師と共にあるという意味である。我々はすでに夫婦二人で歩いている。これに大師が加われば三人なので「同行三人」とした次第であるが、弘法大師の化身と言われるのが金剛杖である。我々は登山用のスティックを使っているので大師様は一緒ではないのかもしれない。そもそも我々は無宗教なので1,400年も前に生きていた人が一緒にいなくてもかまわないとおもう。
じゃあなぜ遍路に出ているのかと言われるかもしれないが、ただ歩く旅をしたいからである。今回の旅は、遍路という古くからの文化に触れる旅でもあるので、形が残る納経帳は用意したが、その他は自分の役に立ちそうなものだけにした。まあ、あまり深くは追求しないでおこう。
この大きな壺とお椀はこの地に200年以上の歴史を持つ大谷焼きである。
境内にあった石碑「ピカドンと光りて 忽ち地獄絵図 ヒロシマ・ナガサキ 我ら忘れじ」 木田まもる
近くの神社の参道の桜がきれいだった。
のんびり歩いて、十輪寺に9:40に到着。2.5kmを約1時間かかったことになる。桜吹雪が道路に舞っていた。ここまでの途中、左折の目安になるはずだったコンビニがなくなって、運送会社に変っていた。地図というのは出来上がった瞬間から古くなるのだ。ここから第一番の霊山寺は近い。